商品開発の過程で、多くの人が苦労するのが「アイディア」を出す作業です。ゼロから何かを生み出す作業には、時間や労力がかかります。本記事では、誰でも簡単に実践できる、商品開発のアイディア出しにおすすめのテクニックを紹介します。記事後半では、商品開発から販売までの間で必ず行う「商品パッケージ」作成時の注意点も紹介します。せっかく苦労して出したアイディアが、パッケージのたった1つの表示ミスで台無しにならないよう、高い精度で校正できるツールも紹介しますので、併せて参考にしてください。商品開発のアイディア出しに効果的な7つのテクニック商品開発のアイディア出しにおすすめの、7つのフレームワーク(発想法)を紹介します。フレームワーク概要①ブレイン・ストーミングメンバー全員で、自由にアイディアを出し合う②オズボーンのチェックリスト「9つの質問」に答えながら、アイディアを生み出す③スキャンパー法「7つの質問」をもとに、アイディアを形にする④マインドマップアイディアを可視化し、関連性を見出し拡張する⑤マンダラチャート9×9のマス目に沿ってアイディアを出す⑥ブレインライティングメンバー間でシートを回覧しながらアイディアを記入する⑦KJ法カードや付箋を用いてアイディアをグループ別に仕分ける次の項目では、各テクニックのメリットとデメリットも交えて、詳細を解説します。①ブレイン・ストーミングブレイン・ストーミングは、開発メンバー全員で、自由に多くのアイディアを出し合う場面に適した方法です。商品開発の目的を共有したうえで、制限時間内に互いにアイディアを出し切ります。自由にアイディアを出し切った後に、分類・整理をして、より内容を洗練させます。ブレイン・ストーミングの4原則4原則内容①批判や否定をしない主観で良し悪しを判断せず、まずはアイディアを出し切ることに専念する②自由なアイディアを歓迎する奇抜でユニークなアイディアも積極的に受け入れ、新しい発見や連想につなげる③「質」より「量」を重視する良質な発想を生み出すためにも、まずは、一定量のアイディアを集める④アイディアを結合して改善するアイディア同士を組み合わせたり、発想を転換したりしながら、内容を洗練させるメリット:アイディアを大量に出せる互いの意見を否定しないため自由に発言でき、多くのアイディアを収集できるデメリット:発言者が偏りやすいテーマやメンバーによっては、特定の人物が発言の中心になりやすい②オズボーンのチェックリスト1人で黙々とアイディア出しに励みたい場面で適した方法です。以下の「9つの質問」に答えながら、課題に対して多方面から深掘りします。9つの質問内容①転用異なる使い方や用途はないか?②応用過去の事例や既存商品に類似するものはないか?③修正・変更形状や原料、香り、味、食感など、修正や変更を加えられる要素はないか?④拡大(追加)数や大きさ、時間、重量、寸法、強度など、価値を拡大できないか?⑤縮小(省略)低くしたり、軽量化を図ったり、分割したり、省略できる点はないか?⑥代用他の素材や材料、部品、製法などで代用できないか?⑦アレンジ・置換異なるパターンや配置にできないか?⑧逆転上下左右、表裏、逆さまにできないか?⑨組み合わせる異なる要素を1つにまとめられないか?メリット:基本的な検討事項を網羅できる9つの質問に1つずつ答えていくことで、大きな漏れがなく、課題を検討できるデメリット:課題と関連性の薄い質問もある課題や商品特性によっては、質問が内容にマッチしない場合もある③スキャンパー法スキャンパー法は、7つの質問項目からアイディアを出す方法で、前述の「オズボーンのチェックリスト」をベースにした考え方です。以下7つの質問項目に回答しながら、網羅的にアイディアを形にできます。7つの質問内容①Substitute(代用する)別の内容に置き換えられないか?②Combine(組み合わせる)異なる要素を合体させるとどうなるか?③Adapt(応用する)既存のアイディアをアレンジできないか?④Modify(修正する)商品やサービスの内容を修正・変更できないか?⑤Put to other uses(転用する)素材や技術などを別の目的で使用できないか?⑥Eliminate(削減する)無駄な部分を削ぎ落とせないか?⑦Reverse/Rearrange(再編成する)もとのアイディアを再構築して、新たな形を生み出せないか?メリット:スピーディに多くのアイディアを生み出せる質問をベースに、短時間で数多くのアイディアを創出できるデメリット:ゼロから新しいアイディアを生み出すには不向き質問をもとに既存のアイディアを拡張させるため、真新しいアイディアは生まれにくい④マインドマップ頭の中にあるアイディア1つ1つを視覚的に「見える化」して、情報を整理する方法です。アイディア同士を、まるで枝を伸ばすようにつなげたり書き込んだりすることで、関連性が可視化され連想が膨らみます。以下の手順で、紙とペンを使ってアイディアを書き出してください。手順内容①大き目の無地の用紙を用意し、中央にアイディアのテーマやキーワードを書く②中央のテーマから、放射状に外側に向かって曲線を描き、各曲線の上に連想されるキーワードを書き足していく③曲線は、中心に近いものほど太く・大きく描いて、メリハリを付ける④曲線を放射状に継ぎ足しながら、連想されるキーワードを書き出し、アイディアを広げていく⑤適宜、色分けやイラストなどを織り交ぜながら、わかりやすく書き記すメリット:アイディアを広げやすいアイディアや思考を、視覚化しながら書き出すことで、どんどん連想が広がるデメリット:目的が曖昧な場合は不向き自由度が高い分、達成したい目的が明確に定まっていないとアイディアが飽和し、かえって混乱を招きかねない⑤マンダラチャートマンダラチャートは、「9×9」のマス目からなるフレームワークです。中央に主要なテーマを配置し、残りの8マスに関連するテーマを並べ、全体を俯瞰しながらアイディアを出していく方法です。手順内容①マス目を3列3行の正方形に作成する②中央のマス目にメインのテーマを記入する③周囲のマス目に、中央のテーマから連想されるワードを記入する④③の作業で導き出されたワードを、新たに外側に作成した9つのマス目の中央にそれぞれ書き記す⑤①~④の作業を繰り返しながら、思考やアイディアを広げるメリット:素早く視覚的にアイディアが膨らむ決められた手順に沿ってアイディアを視覚化しながら拡張・深掘りできるため、短時間でのアイディア出しに適しているデメリット:個人の主観に偏りやすい作成者の主観をもとに作成されるため、解釈の違いや誤解が生じる可能性がある⑥ブレインライティングブレインライティングは、回覧板のようにメンバー内でアイディアシートを順番に記入する方法です。前の人のアイディアを引き継いで、次々にアイディアを出し広げていきます。ブレイン・ストーミングと違い、発言をして進めるのではなく、紙に記入して進めるため、発言が苦手な人のアイディアも拾えるのが特徴です。ブレインライティングのシートは1人1枚用意し、一行目に自分のアイディアを記入して次の人に回します。3×人数分のマスのシートを使用して、1人につき3つまでを上限にアイディアを出しましょう。メリット:発言が苦手な人も参加しやすい紙に書いてアイディアを集めるため、発言に消極的な人も意見しやすいデメリット:序盤のアイディア出しが難しい前の人のアイディアをもとにイメージを膨らませるため、序盤の人ほどアイディア出しの難易度が高い⑦KJ法KJ法は、ブレイン・ストーミングなどで出したアイディアを、カードや付箋を用いて整理してまとめる方法です。文化人類学者の川喜田二郎氏が考案し、自身の著書で紹介しました。KJ法の手順は、まず、1つのカードに対して1つのアイディアを記入します。その後記入したカードをテーブルに並べて近いイメージごとにグルーピングを行います。最後にグルーピングしたカードのグループごとの関係性を図式化し、その図式化した内容を文章に落とし込みます。KJ法ではカードを用いることで少数意見も可視化できます。メリット:論理に基づいて情報整理できる可視化しながら、アイディアを組み合わせたり関連付けたりできるため、論理的な視点で情報整理できるデメリット:準備に時間がかかる付箋やカードを用意し、収集したアイディアを1つ1つ書き出して、ホワイトボードなどに貼り付ける準備が必要商品開発のアイディア出しのポイントここまで商品アイディアを出す具体的なフレームワークを紹介しましたが、アイディアを出す際には、以下3つのポイントに注意してください。固定観念にとらわれない消費者の課題(不の感情)に着目するアイディア出しの段階ではアイディアの評価をしないそれぞれの内容を、以下で詳しく解説します。固定観念にとらわれない商品開発を行う際は、常識に縛られず、自由な発想でアイディアを出すことが重要です。最初のうちは、ひらめきを重視しながら、質より量を意識してアイディアをだしましょう。異なる分野の要素を組み合わせてみたり、一見すると正反対に思える考え方を組み合わせてみたりと、すでにある要素から視点を変えてみる方法も有効です。消費者の課題(不の感情)に着目する消費者が抱える課題に着目し、どんなニーズがあるかを掘り起こしてアイディアを発想しましょう。特に、消費者が抱く、不安・不満・不便・不可能などの感情は、注目すべきポイントです。消費者が購買行動を起こす際は、常に目の前の課題を解決したいと考えています。商品を購入することで、課題の解決につながるようなアイディアなら、多くの需要が見込めます。アイディア出しの段階ではアイディアの評価をしない複数人でアイディア出しをする際、アイディア出しの段階では出てきたアイディアの評価はせずに、多くのアイディアを集めることに集中してください。アイディアに対する否定や批判は、発言しにくくなり、良いアイディアが埋もれてしまう可能性があります。ポジティブな反応を示せば、リラックスした雰囲気になり、参加者が気軽に発言できる環境作りに役立ちます。商品アイディアが実現したあとも残る消費者の手にとどくまでに発生するリスク商品開発はアイディアが決定して終わりではありません。商品開発はアイディア出しから販売まで、主に以下のフローで進んでいきます。商品開発の主なフローアイディア出し市場調査商品企画販売計画商品の試作・製造商品パッケージの作成販売商品開発の最後の工程に、「商品パッケージ」を作成する工程が必ずあります。この最後の工程でミスが発生すると、それまでに時間をかけてきた工程が台無しになってしまうかもしれません。そのため、商品パッケージの作成の工程は商品開発において非常に重要な工程です。商品パッケージは商品の顔であり、商品の情報や特徴を伝えたり、ユーザーの注目を集めたりする重要な役割を担っています。アイディアが決まって無事に商品化しても、商品パッケージ表示にミスがあれば、自主回収や最悪の場合ブランドイメージの失墜を招く恐れがあります。実際に、商品パッケージの食品表示法違反による自主回収は多発しており、厚生労働省によると2024年では342件(※1)にも及ぶ事例が公開されています。(2025年3月24日時点)また、「異物混入」よりも「表示ミス」が原因で自主回収に至った事例の方が多い事実をご存じでしょうか。厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課が公開している、2023年4月~2024年3月の「食品等のリコール情報」の速報値では、食品衛生法関連の851件に対して、食品表示法関連は1,769件もの案件数が挙げられています(※2)。以上のことから、商品開発という重要なミッションを完遂するためには、アイディア出しから正しい商品パッケージで市場に流通するところまでを漏れなく取り組む必要があり、そのためにしっかりとした校正作業も必須です。次の項目では、高い精度で効率よく校正作業を進めたい方におすすめのサービス「review-it! for Package」を詳しく紹介します。※1出典:厚生労働省「公開回収事案検索」検索条件は以下の通りです。 ・届出年月日:2024年1月1日~2024年12月31日 ・回収の理由:食品表示法違反、食品表示法違反のおそれ、その他(食品表示法)※2出典:厚生労働省「食品等の自主回収報告制度」商品パッケージの校正作業を効率化するなら「review-it! for Package」商品開発の過程で、商品のパッケージを作成する際には、パッケージ表示の校正作業が欠かせません。わずかな表示ミス1つでも、商品の販売に重大な影響があるため、精度の高い校正を行う必要があります。しかし、限られた人員や時間の中で、精度の高い校正作業を行うことは難しいでしょう。「校正作業の負担が大きく、アイディア出しに時間を割けない」とお悩みの場合は、自動照合で校正作業を効率化できる「review-it! for Package」がおすすめです。「review-it! for Package」を活用すれば、原稿との不整合や表記ゆれ、修正後の差分を自動で検出できます。無料トライアルも実施していますので、まずは以下から、お気軽にお試しください。review-it! for Packageについて詳しくはこちら商品開発のアイディア出しはフレームワークを用いて効果的に行おう!本記事では、商品開発のアイディア出しに適した、7つのテクニックを紹介しました。それぞれのテクニックのメリットやデメリットも解説しているので、状況に合った方法を実践してください。また、苦労して出したアイディアを、無事に商品化して消費者に届けるため、商品パッケージを作る過程での「表示ミス」にも十分な注意が必要です。「表示ミスに気付かずに市場流通することを防ぎたいけれど、業務量が手一杯でこれ以上時間を割けない」とお悩みの方は、校正作業の負荷を大きく削減できる「review-it! for Package」をお試しください。review-it! for Packageについて詳しくはこちら