商品開発の流れ（プロセス）とは？目的別の進め方や成功するためのポイントを解説

商品開発をする際、どのような考え方や進め方が適切なのか、お悩みの方は多いのではないでしょうか。

スムーズな商品開発をサポートするため、本記事では、商品開発の基本的な流れや目的別に商品開発の具体的な考え方・進め方を詳しく解説します。

また、記事の後半では、商品開発のなかで重要な商品パッケージの校正業務について紹介します。

校正はたった一つのミスで商品開発の全てを台無しにしてしまうリスクのある業務ですが、ミスを防ぎ効率的に業務を進められる便利なツールも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

商品開発をするには、まず基本的な流れ（プロセス）を理解しましょう。商品開発の基本的な流れは、以下の通りです。

1. 市場調査

2. 商品企画

3. 販売計画

4. 試作・製造

5. 販売

6. 分析

以下で、それぞれ詳しく紹介します。

商品開発をするにあたって、まず市場調査を行います。市場調査を行わずに商品を作ると、消費者のニーズに合わず、せっかく開発した商品も失敗する可能性があるためです。

市場調査では消費者や競合他社の動向、最新のトレンドを把握します。調査の方法はさまざまですが、主に以下のような方法を用います。

• インタビュー（街頭・電話・対面など）

• アンケート（インターネット・郵送・FAXなど）

• ビッグデータ分析

市場調査で集めた情報を元にどんな商品を作るかを考えます。企画をする際はまずターゲットを明確にします。ターゲットが明確になることで具体的なイメージに落とし込みやすくなるためです。

その後、以下のポイントを踏まえて、総合的に検討します。

• 市場ニーズやターゲットに合った商品になっているか

• 自社の強みや技術を活かせるか

• 商品に独自性があるか

• コンセプトは明確になっているか
  

企画は自社製品を選んでもらう理由に根拠を付けることを意識し、市場競争で勝てるイメージを考えながら行います。

商品企画が終わったら、まず、商品の開発・製造・販売にかかるコストを詳細に算出します。プロジェクトの予算や目標金額にあわせて、実現性のあるコスト設定が必要です。

次に、具体的にどのような販売方法にするかを検討します。どんな店舗に置くのか、オンラインのみの販売にするのかなど、企画した商品にあわせて判断しましょう。

また、この段階で売上のシミュレーションも行います。必要なシミュレーションは以下の3パターンです。

• 現実的パターン：市場や競合を踏まえた現実的な予測

• 楽観的パターン：現実的パターンよりも上手くいった場合の予測

• 悲観的パターン：現実的パターンよりも上手くいかなかった場合の予測

どのパターンの場合でも目標を達成できる売上になると判断できれば、商品開発を次のステップへ進められます。シミュレーション時点で目標未達の可能性がある場合は、再度計画の練り直しをします。

販売計画を立て、無事に目標達成の見込みを判断できたら、商品の試作・製造に入ります。

まずは、商品企画で出したアイディアを元に試作品（プロトタイプ）を作成します。試作品の段階で機能・コスト・デザイン面で総合的に製品化に進める商品になるように試行錯誤が必要です。製品化しても問題ないと判断できるまで、何回も繰り返します。

納得のできる試作品が完成したら、実際に販売する製品の製造に入ります。この際、具体的な商品パッケージの印字等も行うため、商品パッケージの内容の入念な確認や校正が必要です。

万が一、誤字脱字や誤った情報の記載に気づかずに流通すると、自主回収に繋がる可能性もあります。

なお、試作品が完成した段階で、消費者の生の声を集めるために一度テストマーケティング（テスト販売）するケースもあります。ただし、開発中の商品の存在が競合に伝わるデメリットもあるため、短期間で販売終了するなど、入念に計画を立てましょう。

商品の製造まで進んだら、販売計画時に決めた販売チャネルを通じて商品販売を開始します。

テレビCMやSNS広告など、さまざまな販売プロモーションを行って消費者の注目を集め、商品をアピールしながら販売活動を行いましょう。

商品の販売が始まって一定の期間がたったら売上データや消費者の声などから商品の分析を行います。

分析によって商品の課題を洗い出し、より良い商品になるよう改善をし続けて販売の拡大を目指します

商品開発を進める際には、「目的」に対して最適な方法を選ぶつことがポイントです。抱えている課題や、達成したい目的を明確にした上で、開発する商品に内容を反映しましょう。

TOPPANが実際に行っている3つの開発方法を例に、具体的な進め方を紹介します。

1. 消費者の生活の中にある「潜在ニーズ」から新規の商品開発をする

2. 既存ブランド・商品の「課題とチャンス」から次なる商品開発をする

3. EC限定のように販売手段を絞って特定の「購買プロセス」に刺さる商品開発をする

消費者の潜在意識を把握するために、定量・定性の両面を意識しながら、購買行動の分析調査を実施する。

新商品開発のヒントを得るために、トレンドとなる事象とその背景にあるインサイト分析を行う。注目を集めている商品やサービス、生活者の意識や行動などに着目すると効果的。

開発メンバーで協力しながら主体的な意見を出し合うために、ワークショップ形式でブランド価値を創出する。

上記の徹底した調査結果をもとに、独自性あるブランドとしての戦略を策定する。

ターゲットや提供価値、保有するUSP（自社商品・サービスの強み）など、コンセプトを明文化する。

シンボルマークやロゴタイプを開発し、展開方法を示したVI基本デザインシステムを規定する。

ブランドが持つアイデンティティを端的に表し、特徴を適切に伝える表現を考える。

あらゆる人を対象に、快適に使えて魅力を感じるデザインを検討する。

プロトタイプの検証としてダミーを作成する。

以上の手順に関する詳しい内容は、TOPPANが提案する商品企画も、ぜひ参考にしてください。

▶参考ページ：パッケージで未来を創るトッパンの商品企画

企業が、ブランドや商品に対して考えている「課題とチャンス」からシーズ（企業独自の強みとなるノウハウやデータ）を活かした提案をするなら、綿密な戦略策定が必要です。

ターゲットに沿った戦略を練るために、以下の手順で商品開発を進めると効果が見込めます。

企画の精度を高めるために、特定分野の有識者から意見を聴取する。

ブランドに対して生活者が持つイメージを「見える化」し、守るべきブランドエレメントを明らかにする。

トレンドとなる商品やサービス、生活者の動向などを、背景を踏まえながら分析し、新たな商品開発のヒントを得る。

ターゲットに対して提供する価値を明確に掲げ、ブランドの持つUSPも考慮しながら、コンセプトを立案する。

立案したコンセプトに対する消費者の実態を、定量的・定性的に調査し、課題を抽出する。

店頭陳列の状況把握や、生活者の購買行動分析、関係者へのインタビューなど多角的に調査する。

視覚解析調査や、消費者調査など、様々な調査結果を踏まえた上で、ブランド価値を伝えるデザインを開発する。

もっと詳しい内容を知りたい方は、TOPPANが提案する商品企画も、併せてご覧ください。

▶参考ページ：パッケージで未来を創るトッパンの商品企画

販売手段を絞って、特定の購買プロセス（顧客が商品やサービスを購入するまでの行動や心理的な変化）に刺さるように商品開発をする方法もあります。

例えば、ECを活用して、購買プロセスを重視したパッケージの開発を行うなら、顧客の生活に寄り添った形態の提案が必須です。

開封時のサプライズ感、省ゴミにもつながるアフターユース性や収納性などを意識しながら、以下の手順で商品開発を進めましょう。

生活者が商品と直接触れあう体験機会を実現する。（商品PRやサンプリング、販売などの場を用意する）

インサイト分析を行い、生活者の意識や行動、トレンド事象を背景まで踏まえて把握する。

生活者との接点であるパッケージを起点に、オリジナルのレポートを掲載する。

視線解析調査・消費者調査など、多岐にわたる調査結果をもとに、ブランド価値を伝えるデザインを開発する。

以上の手順について、具体的な事例を知りたい方は、TOPPANの商品企画を参考にしてください。生活者とのコミュニケーション方法や、パッケージクリエイティブなどを確認できます。

▶参考ページパッケージで未来を創るトッパンの商品企画

商品開発を成功させるために、意識すべきポイントは次の4点です。

• 消費者視点で考える

• ノウハウやデータを活用する

• ターゲットやコンセプトを明確にする

• 消費者の記憶に残るパッケージデザインを作る
  

それぞれの内容を、以下で詳しく解説します。

商品開発を行う際には、実際に利用する消費者の目線になって、「消費者が何を求めているか？」を十分に考えることが重要です。

消費者のニーズに沿っていなければ、どんなに時間をかけて商品開発をしても、購入にはつながりません。

消費者にアンケートを取ったり、最新のトレンドを追ったりするなど、なるべく最新の情報をもとに商品開発を進めましょう。

商品開発を進めるにあたって、自社のノウハウやデータを活用することも成功のポイントです。

例えば、既存商品の顧客の購入データを用いた需要分析など、自社にしかないノウハウやデータを活用することで他社の商品との差別化につながります。

商品開発をする際は、ターゲットやコンセプトを明確にする意識を持ちましょう。

ターゲットがずれていたり、コンセプトが曖昧だったりすると、消費者の「購入したい」という気持ちを十分に引き出せません。

また、ターゲットやコンセプトを明確にすれば、販売戦略も立てやすくなります。

商品パッケージには以下のような役割があります。

• 商品の情報や特徴を伝える

• ブランドイメージを表現する

• 消費者の購買意欲を高める
  

商品パッケージは商品の情報や特徴を効果的に伝える手段です。明確でわかりやすいデザインは、消費者が商品の価値を理解しやすくします。

また、消費者がパッケージに対してポジティブな印象を抱くと、商品の購買意欲が湧いたり、ブランドに対する好感度が上がったりします。

そのため、消費者に刺さるようなパッケージデザインを作ることは、商品開発を成功させるために重要なポイントです。

なお、商品の情報は適切に伝える必要があり、誤った情報に気づかず流通してしまうと、消費者からのクレームなどのさまざまなリスクが発生します。最悪の場合、商品の自主回収やブランドイメージの失墜に繋がります。パッケージデザインを作る際は、その点も留意して制作しましょう。

工夫を凝らした商品を開発しても、商品の顔となる「パッケージ」にミスがあると、全てが台無しになってしまいます。そのため、商品開発の工程の中で、「パッケージ制作」はとても重要な工程です。

たった1つの「表示ミス」でも気づかずに流通してしまうと、商品回収の大損害につながる恐れもあります。以下で、実際に起こった損害事例を詳しく紹介します。

厚生労働省が公開している情報によると、2024年の1月から12月の間で、食品表示法違反にまつわる「自主回収」の事例は、342件(※1)にも及びます。（2025年3月24日時点）

中には「違反が発見されたのは1パックのみ」と、規模の大小を問わずに自主回収に至った事例も存在しています。

たった1つの表示ミスが、商品回収を引き起こし大損害につながるリスクがあるため、十分な注意が必要です。

※出典：厚生労働省「公開回収事案検索」

検索条件は以下の通りです。

　　・届出年月日：2024年1月1日～2024年12月31日

　　・回収の理由：食品表示法違反、食品表示法違反のおそれ、その他（食品表示法）

「異物混入」よりも「表示ミス」の方が、実際に商品回収まで至った事例が多いことをご存じでしょうか。

2024年の1月から12月の間で、「食品衛生法違反」（301件）にまつわる回収例よりも、「食品表示法違反」（342件）に伴う理由で回収された事例の数が上回っています(※1)。（2025年3月24日時点）

また、厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課が公表している、2023年4月～2024年3月の「食品等のリコール情報」の速報値によると、食品衛生法関連の851件に対して、食品表示法関連では1,769件ものリコール案件が報告されています(※2)。

上記の経緯を踏まえた上でも、商品開発でパッケージ制作をする際には、十分な校正作業が必要です。

※1出典：厚生労働省「公開回収事案検索」

「食品衛生法違反」の検索条件は以下の通りです。

　　・届出年月日：2024年1月1日～2024年12月31日

・回収の理由：食品衛生法違反、食品衛生法違反のおそれ、その他（食品衛生法）

「食品表示法違反」の検索条件は以下の通りです。

　　・届出年月日：2024年1月1日～2024年12月31日

　・回収の理由：食品表示法違反、食品表示法違反のおそれ、その他（食品表示法）

※2出典：厚生労働省「食品等の自主回収報告制度」

わずかな表示ミスに気づけないだけでも、商品回収につながるリスクがあるため、商品開発におけるパッケージ制作では、不安を感じる方も多いでしょう。

また、制作過程における校正業務は時間がかかるうえに、ミスが許されないプレッシャーもあり精神的な負荷も高い業務です。

より安全で効率的な商品開発を目指すなら、校正業務にかかる作業負荷の削減は欠かせません。

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商品開発をする際には、企業の目的に合わせて制作を進める必要があります。本記事で解説した、目的別の具体的な開発手順を参考にしながら、効果的に商品開発を進めましょう。

なお、商品開発の過程でパッケージを制作する際には、「表示ミス」を見落とさないように十分ご注意ください。

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